DUEL MASTERS / MANGA ARCHIVE
勝舞VSザキラ、切り札だけでは勝てない|FE最終決戦を支えた3枚
《龍神ヘヴィ》《破壊神デス》《龍神メタル》。名前を並べただけで、こちらのシールドを確認したくなる。漫画『デュエル・マスターズFE』の勝舞対ザキラは、そんな大物がぶつかる決闘だ。でも、読み返すと気になってくるのは、神々の足元にいる小さなカードたちである。
バジルが倒れる。ロッポ・ロッポが身を挺する。エールフリートが進化を支える。派手な切り札だけを覚えていると見落としそうな仕事が、勝負を動かしている。今回はFE第11〜12巻の対戦について、コロコロ公式が公開している漫画コマと解説を手掛かりに、その仕事を紙のカードの能力から読んでいこう。
記事中の検討盤面は、能力を理解するために条件を設定した例。漫画の全ターンや、描かれていない手札を再現したものではない。
バジルが倒れた。ザキラは困っているのか?

普通は、自分のクリーチャーが減れば嫌な顔をする。ところがザキラの場合、そこで「よし」と言いたくなる仕組みを用意している。公式のバジル紹介が取り上げるのは、FE第11巻「怒りと悲しみの咆哮」。ヘヴィで自分のバジルを破壊し、その能力を手札破壊につなげる場面だ。
紙のバジルのカード情報を見ると、破壊されたときの選択肢は二つ。相手の手札を見ずに1枚捨てさせるか、相手のパワー3000以下のクリーチャーを1体破壊するか。両方ではなく、どちらかを選ぶ。ここは大事だ。デュエル・マスターズ プレイスの紹介記事を読むときも、紙の対戦を考えるなら紙のテキストに戻りたい。
では、相手の場に小型がいるのに、なぜ手札を狙うのか。次の攻撃を止める1体を消したいなら、小型除去が頼もしい。一方、場の処理がヘヴィの能力で足りるなら、残る手札に触れる意味が出てくる。目の前の1体と、次に出てくるかもしれない1枚。どちらを減らすと相手が困るかを考えるカードなのだ。
検討盤面:ヘヴィを出した前後を数えてみる
ここからは漫画とは別の例。自分の手札はヘヴィを含む3枚、場はバジル1体。相手の手札は2枚、場は2体とする。召喚に必要な5マナは用意できており、他に処理へ影響する能力はないものとする。
| 確認するもの | 召喚前 | 一連の処理後 |
|---|---|---|
| 自分の手札 | 3枚 | 3枚 |
| 自分の場 | バジル1体 | ヘヴィ1体 |
| 相手の手札 | 2枚 | 1枚 |
| 相手の場 | 2体 | 1体 |
ヘヴィを出すので手札は一度2枚になる。その能力でバジルを破壊して1枚引くと3枚に戻る。相手も自身のクリーチャーを1体選んで破壊し、さらにバジルの能力で手札を1枚失う。この処理ではシールドは増減しない。単に「2枚得した」とまとめるより、手札と場を分けると何が起きたか見えやすい。
しかも、ヘヴィで破壊する相手側の1体は、こちらが自由に選ぶわけではない。相手が選ぶ。そのため「一番大きい切り札を確実に倒せる」と思って使うと話が違ってしまう。狙った1体を選ぶ《デーモン・ハンド》とは、ここが違う。除去という同じ言葉でも、相手に選択権を渡すかどうかで働きは変わる。
ロッポ・ロッポ、小さな1体を残しておく理由

次は勝舞側だ。公式のロッポ・ロッポ紹介では、FE第11巻「降臨!暗黒の破壊神!!」から、ヘヴィ・デス・メタルが完成する局面で武者を守る働きが紹介されている。巨大な神の隣で見ると、3マナ・パワー2000はずいぶん小さい。それでも、場にいる意味がある。
紙のロッポ・ロッポが持つのは、フェニックスまたはドラゴンへのセイバー。自分の該当するクリーチャー1体が破壊されるとき、代わりにこのクリーチャーを破壊できる。武者が次の一手を担うなら、守る1回の価値は重い。小型1体の攻撃より、武者が場に残るほうが重要になる場面がある。
たとえば、次の自分のターンにドラゴンで攻めたい局面を考える。守り役を先に戦闘で失えば、相手は残ったドラゴンだけを処理すればよくなる。守り役を残せば、相手はその存在まで計算に入れる必要がある。「攻撃できるから攻撃する」で済ませず、場に残す仕事を数える。昔のデュエマでも、こういう1体の扱いに差が出る。
ただし、何でも肩代わりする万能の護衛ではない。セイバーが扱うのは破壊だ。手札に戻す動きとは区別したい。《スパイラル・ゲート》の解説で扱うようなバウンスを、同じ調子で防げるとは考えないこと。守る側だけでなく、相手の立場で「この守りをどう越える?」と読むと、1枚の理解がぐっと深くなる。
三体神が怖いのは、数字だけの話ではない
ヘヴィ、デス、メタルが並ぶと迫力がある。でも、名前の圧に負けず、能力を切り分けよう。《破壊神デス》の公式情報には、ヘヴィとメタルの両方とのリンクに関わる除去や、三体がリンクしたときの能力が記されている。完成した姿を止める準備と、完成前に部品へ触る準備は同じではない。
相手が次のターンに何をそろえられるか。こちらの手札に、今使う除去と取っておく除去があるか。盤面が大きく動く直前ほど、今の攻撃だけを見るのは危ない。一方で、怖がって手を止めれば、それだけ相手に時間を渡す。だから守り役の1体が、攻めるための余裕を生むこともある。カードの役割は「攻撃用」「防御用」の二箱には収まらない。
呪文を拾えなくても、エールフリートの仕事は終わらない

公式のエールフリート紹介は、「長き闘いの終結…」での働きを取り上げている。呪文を手札に加える働きがうまくいかなかった後も、このクリーチャーは場に残り、ボルフェウス・ヘヴンへの進化を支える。出たときの結果だけで「失敗」と決めるには、まだ早い。
紙の《神門の精霊エールフリート》は、山札の上から3枚を表向きにし、その中の呪文を1枚手札に加え、残りを墓地へ置く。山札全体から好きな呪文を探す能力ではない。必要な呪文が下のほうに眠っていたら、今回は届かない。その不確実さまで含めて使うカードだ。
それでも、場にはエンジェル・コマンドが残る。ブロッカーとして働く可能性も、進化元になる可能性もある。手札に加わった枚数だけでは、召喚の価値を数え切れないのである。墓地に置かれたカードも、何が落ちたかを確認したい。ただし、墓地のカードがそのまま使えるわけではない。回収や利用の手段があるかどうかは、別に確かめる必要がある。
進化元は2体。エールフリート1体だけでは足りない

ボルフェウス・ヘヴンの進化Vは、自分のエンジェル・コマンドまたはアーマード・ドラゴンの中から2体を使う。それぞれ1体ずつでなければいけない、という条件ではない。エールフリートが進化元になる、と覚えた後は、もう1体を用意できるかまで考えて初めて手順になる。
検討用に、エールフリートと進化条件を満たすもう1体が自分の場にあり、7マナとボルフェウス・ヘヴンが手札にあるとしよう。このとき、2体を進化元にする道が見える。逆にエールフリートしか残っていなければ、手札に切り札があっても、その条件では出せない。大技を成立させるのは、切り札を引くことと、材料を残すことの両方だ。
エールフリート自身は相手プレイヤーを攻撃できないが、その制限を進化後のクリーチャーがそのまま引き継ぐわけではない。守っていたカードが、進化を通じて攻めにつながる。ここが面白い。手元の古いカードを見返すときも、パワーの下にある種族名まで読んでみよう。ずっと脇役だと思っていた1枚に、別の出番が見つかるかもしれない。
勝った後の言葉までが、この決闘だった
「大好きな決闘で、人の命は奪えない。」
出典:松本しげのぶ『デュエル・マスターズFE』第12巻。コロコロ公式の公開コマで確認できる勝舞の言葉。決闘には「デュエル」のルビが付く。
この一言があると、勝つための工夫を追ってきた読み方が、少し変わる。相手より先に切り札を出す、守りを突破する、最後の攻撃を通す。それだけで終わらず、勝った側が何を選ぶのかまで問われるからだ。ザキラに勝てるかという勝負の問いと、勝舞がどんな決闘者であり続けるかという問いが、ここで重なる。
これは当サイトの読みだが、勝舞は決闘の楽しさを、勝者が何をしてもよい理由にはしていない。厳しい相手に勝つことと、相手の命を奪うことを切り離している。大技の応酬を覚えていた人ほど、その後の表情と言葉にも戻ってほしい。派手な戦いの余韻を、勝敗とは別のところへ連れていく場面だ。
昔のカードを、もう一度「使い道」で見てみよう
今回の3枚に共通するのは、見た目の大きさやレアリティだけで仕事が決まらないこと。バジルは倒れた後、ロッポは仲間が倒れそうなとき、エールフリートは進化する前に価値を持つ。カードの山を整理していると、こうした1枚ほど「同じような小型」としてまとめてしまいがちだ。でも、能力を読むとずいぶん違う。
小型の働きが気になったら、昔のノーマルカードの見分け方と整理へ。実際に防御の選択を比べたいなら、DM-01のブロックとシールド受けの比較もどうぞ。こちらは漫画の対戦記録ではなく、条件をそろえて試した検討記事だ。
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